深呼吸し、意識をフォーカス12にフェーズする。
そして、ゆっくり息を吐き出す。ふと見ると、大きなフクロウが一羽、椅子の背にとまっている。体長は、50センチぐらいだろうか。
腹面の羽毛は灰色で褐色の縦縞が入っている。
フクロウは椅子の背でピョンと飛び跳ねると、体の向きを変えた。
彼の背面の羽毛は褐色で、濃褐色、灰色、白の斑紋が入っている。
ゆっくり彼が振り返り、目が合ってしまう。その虹彩は黒かった。
「えーと、どうも。山川健一ともうします。ご存知かもしれませんが、セリさんからいろいろ学んでいる最中でありまして。その個人授業の成果を本に書いてきたんですが」
フクロウの眼が、キロッと光る。
その恐ろしさ!
首をクルクルッと動かしたフクロウは、もう一度ぼくを凝視する。
「あの、お名前は?」
セリやスパイダーマンに対するのはちがって、どうもこのフクロウの前だと卑屈になってしまう。
「なんでもよい」
澄んだバリトンである。やっぱりな! こいつはただのフクロウじゃなくて、こちらが考えていることなどお見通しで、魔力もハリー・ポッター以上に強そうで、下手するとネズミに変えられてパクッと食われてしまいかねない。
「そんなことはしないよ。私はガイドなのだから」
ほらほらほら、きたきた。読心術だ。
ぼくはテーブルのこちら側の椅子に腰かけ、ガイドのフクロウと向かい合った。
その瞬間、フクロウが椅子の背にとまったまま、羽根を広げた。ゆうに1メートルはあるだろう。バサバサッとやって、羽根をたたむ。
「もう気がついたかもしれないが、セリは君にとってオーラの世界のガイドであり、スパイダーマンは愛についてのガイドなのだ」
えっ、そうだったの?
「そうしますと、あなたは?」
「私は君にとって、エイチの世界のガイドだ」
エイチ、H? ああ、英知か。
英知の世界のガイド!
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